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展示作品の御紹介:イオン交換彩色カット・グラス香水瓶

イオン交換彩色カット・グラス香水瓶
(1840年頃|ボヘミア)

ガラス原料の中に入っている酸化リチウムと、銅や銀のイオンとを置換して、ガラスの表面を赤や黄色に着色するハイテクニックが、19世紀前半のボヘミアで開発された。この技法は、ガラスにカットやグラヴィール彫刻を施した部分にも着色でき、着色した部分を簡単に削り取ることもできるので、カメオ・グラスのような大変に手間のかかる技法に比べると、極めて便利な着彩法であった。そのため19世紀に入ると、ボヘミアン・グラスの装飾には、このイオン交換着彩法によるものが多くなる。この香水瓶は、イオン交換によって表面に銅赤色を着色し、更にエッチングという酸腐食法によって、銅赤部分を削り落とし、草花人物文様を残して赤色の文様とした典型例である。

特別企画展:香りの装い〜香水瓶をめぐる軌跡〜
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/exhibition_2024
開催中:2025年1月13日(祝・月)まで

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箱根ガラスの森美術館は、緑豊かな箱根仙石原にあるヴェネチアン・グラス専門の美術館です。

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