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展示作品の御紹介:香水瓶

展示作品の御紹介:香水瓶
(1890年頃|ロシア|サンクトペテルブルク│ファベルジェ社│海の見える杜美術館所蔵)

19世紀後半にロシア皇室御用達の高級宝飾メーカーとなったファベルジェ社。ニコライ2世の弟にあたる皇太子ゲオルギー・アレクサンドロヴィッチ大公の購入記録が皇室台帳に残された本作品は、高名な工房長ミカエル・ペルチンの作である。水晶を用いた本体には、貝模様とアラベスク模様が、極めて精緻に彫られている。二重構造の金製の栓は、ギョーシェ彫りの上から半透明の緑色の七宝が施されている。また栓の上部にはダイヤモンドとムーンストーンが、栓の下部にはダイヤモンドとルビーによる優美な花綱模様があしらわれ、本作品が18世紀の装飾表現を採用していたことが伺える。

特別企画展:香りの装い〜香水瓶をめぐる軌跡〜
https://hakone-garasunomori.jp/event/exhibition_2024
会期:2024年7月19日(金)から2025年1月13日(祝・月)まで

香水瓶セット
(1870年頃│フランス│海の見える杜美術館所蔵)

2枚の貝殻を合わせた卵型の本作品を開くと、4本の香水瓶が内部から現れる仕掛けとなっている。それは「驚異の部屋」に陳列された新奇なオブジェへの嗜好が着想源になったと考えられている。また本作品は、植物を象った上部の把手によって、置き場所をたやすく移動させられるという機能性も備えている。ケース部分となるマザー・オブ・パールの虹色の輝きと、台座の大理石の模様の呼応に見られるように、天然素材の持つ美しさを効果的に用いた作品である。

特別企画展:香りの装い〜香水瓶をめぐる軌跡〜
https://hakone-garasunomori.jp/event/exhibition_2024
会期:2024年7月19日(金)から2025年1月13日(祝・月)まで

ルビー・グラス薔薇文金彩香水瓶
(1880年頃|フランス)

濃いルビー・グラスに金彩でバラや小鳥を絵付けした香水瓶で、アカンサス葉文をレリーフ装飾した銀鍍金製の豪華なキャップが付けられている。中にはガラス製の栓が付けられており、香水の蒸発を防ぐ、密栓作りとなっている。

特別企画展:香りの装い〜香水瓶をめぐる軌跡〜
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/exhibition_2024
会期:2024年7月19日(金)から2025年1月13日(祝・月)まで

展示作品の御紹介:琥珀香水瓶

琥珀香水瓶
(1850年頃|フランス)
楽器のレリーフ彫刻を施した小型の琥珀製香水瓶。当時、様々な形の琥珀製の香水瓶が作られた。

特別企画展:香りの装い〜香水瓶をめぐる軌跡〜
https://hakone-garasunomori.jp/event/exhibition_2024
会期:2024年7月19日(金)から2025年1月13日(祝・月)まで

2024年度 特別企画展:香りの装い〜香水瓶をめぐる軌跡〜
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/exhibition_2024
会期:2024年7月19日(金)から2025年1月13日(祝・月)まで
水晶や瑪瑙、ガラスで制作された香水瓶など約80点を展示いたします。

風景文ケース入り香水セット
(1760年頃|フランス)

中流家庭で使われていた香水セット。木製の化粧ケースに、四本のカット・グラス製の香水瓶が納められ、片側に花縁の銀製小皿が一枚添えられている。また、蓋の内側にはガラス鏡が嵌め込まれていて、化粧用としてセットされている。木箱には、当時の民芸家具によく見られるように田園風景が描き込まれ、一部には恋人たちが林の中で語らう姿が描かれている。イタリア製の同形式の香水セット(1720年頃)には、小皿の他に漏斗が入っており、調香用に使われていた状況がよくわかる。この香水セットの小皿も、調香用に使われた小道具であったことは間違いないであろう。

特別企画展:香りの装い〜香水瓶をめぐる軌跡〜
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/exhibition_2024
会期:2024年7月19日(金)から2025年1月13日(祝・月)まで

展示作品のご紹介:べっ甲星文ケース入り香水セット
(1770年頃|フランス)

フランス王朝文化最盛期のルイ16世の時代に、宮廷で流行した角落し八角金製、べっ甲張り金星散らし文様を施した極めてエレガントなケースに、二本の金キャップ付きガラス香水瓶をセットにして納めた携帯用香水セット。中央の金製の小型漏斗は、調香した香水を、香水瓶に注ぎ込むために使う漏斗である。他に、金製のハサミ、ナイフ、爪ヤスリ、耳かき、爪楊枝、棒紅などをセットしたものも作られていた。この作品は、フランス貴族の特注品として作られたものである。

特別企画展:香りの装い〜香水瓶をめぐる軌跡〜
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/exhibition_2024
会期:2024年7月19日(金)から2025年1月13日(祝・月)まで

展示作品の御紹介:アンバー・グラス王家の百合文香水瓶
(1675年頃|フランス)
ベルナール・ペローによってルイ14世(1643-1715)のために作られたとされる、これと同形式ブルー・グラスの香水瓶が、パリのウビガン香水会社のコレクションの中にあることから、このアンバー・グラスの香水瓶も、同時代の王室用香水瓶として作られた一点であったと推定される。

特別企画展:香りの装い〜香水瓶をめぐる軌跡〜
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/exhibition_2024
会期:2024年7月19日(金)から2025年1月13日(祝・月)まで

展示作品の御紹介:瑪瑙香水瓶

瑪瑙香水瓶
(18世紀後半|ロシア)

ロシア皇帝エカテリーナ2世(在位1762-1796)のために作られたこの豪華絢爛たる三つの口を持つ黄金瑪瑙製の香水瓶には、中央部分の七宝帯文中に、謎めいた銘文が記入されている。“VOTRE AMITTE‘FAIT MA SEUL FELICITÉ(”「あなたの愛は、私だけの至福を生む」)という銘文。「あなたと私」とは一体誰であったのだろうか。エカテリーナ2世の夫は、歴史上、かの有名なピョートル大帝(在位1682-1725)の孫ピョートル3世(1728-1762)であった。本来ならば帝位を継ぐべき筈であった夫が暗殺に遭い、その夫に代わって帝位についたエカテリーナ2世に、ピョートル3世が生前に贈った祝福の香水瓶であったのではなかっただろうか。三つの香水瓶を合わせて一体に作ったこの瑪瑙香水瓶のそれぞれに、エカテリーナ2世の愛した香水が、ピョートル3世の愛と共にいっぱい注がれていたにちがいない。

特別企画展:香りの装い〜香水瓶をめぐる軌跡〜
https://hakone-garasunomori.jp/event/exhibition_2024
会期:2024年7月19日(金)から2025年1月13日(祝・月)まで

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