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展示作品のご紹介:コメディア・デラルテ
コメディア・デラルテ
(20世紀│ヴェネチア)
ヴェネチア伝統の仮面喜劇「コメディア・デラルテ」は、16世紀に成立した仮面を用いた即興劇で、カーニバルの時期になると、道端や広場で上演されてきました。劇中で使用する仮面は、それぞれ特徴があり、役者がどの役柄を演じているのか明確に決まっています。仮面をつけた役者は、様々な階級や職業の人々が巻き起こす喜劇をアクロバティックな演技とともに繰り広げました。18世紀に入り、劇作家カルロ・ゴルドーニが登場すると、その人気はさらに高まり、「コメディア・デラルテ」の登場人物の出で立ちは、ヴェネチア・カーニバルの仮装にも取り入れられました。ひょうきんな顔をしたアルレッキーノは、金太郎飴のように模様の入ったガラス棒を切断し、そのパーツを貼り合わせることで、アルレッキーノの特徴である、つぎはぎだらけの衣装を表現しています。また、コロンビーナをはじめとする4人の人形たちはどれも表情豊かで、吹きガラスと熔着装飾技法が用いられ、躍動感があふれる様子が見事に表現されています。
2025年初春 所蔵作品展「ヴェネチアン・グラスとカーニバルの世界」
https://hakone-garasunomori.jp/event/2025_festival/
会期:2025年1月25日(土)から4月13日(日)まで。
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18世紀の天才劇作家 カルロ・ゴルドーニ
ヴェネチアでは、貴族だけでなく一般市民にいたるまで、広くオペラや演劇を楽しむ習慣があり、街頭でもよく演劇が上演されていました。そんな目の肥えたヴェネチア人たちを満足させていたのが、劇作家 カルロ・ゴルドーニです。
カルロ・ゴルドーニ (1707~1793)は、18世紀に活躍した劇作家の一人です。1707年にヴェネチアで生まれ、幼い頃から天才劇作家と言われる片鱗を見せていました。しかし、両親の意向で、あまり望んでいなかった弁護士の教育を受け、25歳の時に資格を取得。それでも、演劇への興味を持ちつづけたゴルドーニに、この年転機が訪れます。コメディア・デラルテの役者であったサッキと出会い、彼に「二人の主人を一度に持つと」の台本を送ったのです。この公演は大成功し、その1年後、サンタンジェロ劇場の座付き作家となりました。
当時、一般的には、座付き作家として認められることはとても難しく、それだけで生計を立てるのは至難の業でした。しかし、ゴルドーニの描く世界はヴェネチア人たちの心を掴んで離さず、筆一本で生計を立てた最初の人物となりました。
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