現代ガラス美術館

Modern Glass Museum

20世紀に入り、新しい生命を吹き込まれた
斬新な現代ヴェネチアン・グラス。
ガラスの無限の可能性をご覧いただけます。

ジュゼッペ・バロヴィエール

Giuseppe Barovier (1853年〜1942年)
19世紀末から20世紀初頭に活躍したガラス職人。
兄弟兄弟のベンヴェヌート、ベネデットと「アルティスティ・バロヴィエール」を結成し、ガラス器を共同で制作する。ジュゼッペ・バロヴィエールが制作した「風にそよぐグラス」は、当時ヨーロッパ諸国で大流行していたアールヌーヴォー様式に呼応する最初のヴェネチアン・グラスであり、ムラーノ島のガラス工芸史に残る実験的な作品である。

風にそよぐグラス

1895年
紙のように薄くて大きな器の部分、糸のように細い繊細な脚、そしてそれを支える薄い円盤のような台の、今にも壊れてしまいそうなはかなさと、そよ風にさえ揺れ動く繊細な作り。
実は専門家たちは、このようなガラスの器は到底不可能だと考えていましたが、バロヴィエールはそんな仕事にあえて試みて成功したのでした。
普通、ガラスを作るためには、最初に器の部分を吹いて作り、それにステムと呼ばれる脚を付けます。 その後に、ステムの先端に溶けたガラスの塊を付けて、それを平らに延ばして台を作りグラスを完成させます。
しかし、このように細いステムでは、溶けたガラスの塊をつけるだけで折れてしまいます。
たとえ折れなくても、そのステムを回転させて先端に付けたガラスの塊を平らにのばすには、ステムに力を加えなければならず不可能なことなのです。
ガラスの魔術師バロヴィエールは、器の部分、ステム、台をあらかじめ別々に作っておき、器の部分にステムを溶かし付け、ステムに台を溶かし付ける方法で、この糸のように細いステムのついたグラスを完成させたのでした。
しかし、自分の脚で立つことができたグラスは作ったものの半分にも達せず、かろうじてバランスを保ち誕生したのがこれらの作品です。
季節・企画展により展示作品・館内レイアウトが変わる場合がございます。

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