─アドリア海の新しい風、芸術と技の結晶─
ピカソ・シャガールたちのヴェネチアン グラス彫刻展

Exhibition of the Glass Sculptures created by world great artists and Egidio Costantini
コスタンティーニ家所蔵のガラス彫刻作品をはじめ、芸術家たちの残した作品デザインや、当時の写真資料などを合わせてご紹介いたします。

ピカソ・シャガールたちのヴェネチアン グラス彫刻展

会期:2019年4月27日(土)から11月24日(日)まで
20世紀中頃、ガラスの美しさに魅せられたエジディオ・コスタンティーニは、新たなガラス芸術を創り出そうと、50通以上にも及ぶ手紙で世界中の芸術家たちに協力を呼びかけました。コスタンティーニは、彼の思いに賛同したパブロ・ピカソや、マルク・シャガールといった芸術家たちの独創的なデザインを、千年の歴史を誇るヴェネチアン・グラスの巨匠たちの卓越した技で「ガラス彫刻」に結実させます。
以後、コスタンティーニが主催する「フチーナ・デリ・アンジェリ(天使の窯)」で制作されたガラス彫刻は、ヴェネチアン・グラス界に新風を巻き起こし、ガラス作家たちに多大な影響を与えることになりました。
本展では、コスタンティーニ家所蔵のガラス彫刻作品をはじめ、芸術家たちの残した作品デザインや、当時の写真資料などを合わせてご紹介し、文化や価値観を超えて様々なガラス彫刻を生み出した、コスタンティーニの一大プロジェクトに迫ります。
天使の窯のエンブレム
天使の窯のエンブレム
ジャン・アルプー‐エジディオ・コスタンティーニ
1965年

1章 世界の芸術家たちと天使の窯

ガラスの可能性に惹きつけられた芸術家たちと、ヴェネチアン・グラスの伝統技法を受け継ぐガラス職人たちの協力で、「ガラス彫刻」という新たな芸術分野を切り開いたエジディオ・コスタンティーニ(1912-2007年)。
1950年から始まったこのガラス彫刻の創作プロジェクトは、その後、1954年から活動に参加したフランスの詩人、ジャン・コクトー(1889-1963年)によって「フチーナ・デリ・アンジェリ(天使の窯)」と命名されます。また、コクトーの働きかけもあり、パブロ・ピカソ(1881-1973年)や、ジョルジュ・ブラック(1882-1963年)、「フチーナ・デリ・アンジェリ(天使の窯)」のエンブレムを考案したジャン・アルプ(1887-1966年)などの20世紀を代表する革新的な芸術家たちが多数加わり、コスタンティーニに作品のデザインを提供しました。
TORO(雄牛)

TORO(雄牛)

デザイン:パブロ・ピカソ
制作:エジディオ・コスタンチーニ
1954年
CONTADINO(農夫)

CONTADINO(農夫)

デザイン:マルク・シャガール
制作:エジディオ・コスタンチーニ
1954年

注)この作品(Toro)はパブロ・ピカソの作品を基に、エジディオ・コスタンティーニが制作したガラス彫刻作品です。
※This work(Toro) produced by Egidio Costantini is based on a work of Pablo Picasso.

 
エジディオ・コスタンティーニ

エジディオ・コスタンティーニ

エジディオ・コスタンティーニは銀行員、木材乾留(かんりゅう)業、ガラスの販売員など、多くの職業を渡り歩く中でガラスの美しさに魅せられ、ガラス彫刻の創作を志すようになりました。
1950年より、誰も見たことのない斬新なデザインを生み出す芸術家と、ガラスという一朝一夕では扱えない素材を操る職人の間を仲介する「アート・ディレクター」として創作を始めたコスタンティーニは、ガラス職人に芸術家の意図を伝え、彼らの精神が反映されたガラス彫刻を仕上げるという、大変困難な仕事に挑戦しました。
また、コスタンティーニは「アート・ディレクター」として才能を発揮しただけではなく、自ら作品のデザインを起し、一人のガラス作家としても制作を行いました。この章では、デザイナーと職人の共同制作という新たな制作方法を打ち立てたコスタンティーニのデザインによる作品を紹介します。

© La Fucina degli Angeli  (Costantini Family Collection)

2章 アート・ディレクター、エジディオ・コスタンティーニ

Cappello del Vetro(ガラスの帽子)

Cappello del Vetro(ガラスの帽子)

エジディオ・コスタンティーニ
1980年
Cratere(クラテル)

Cratere(クラテル)

エジディオ・コスタンティーニ
1990年
 

3章 越境する芸術運動

1970年代に入ると、「フチーナ・デリ・アンジェリ(天使の窯)」にも、グラフィック・デザイナーで画家の横尾忠則、耳をモチーフにした作品を制作した三木富雄、「もの派」を代表する作家の一人である成田克彦など、多くの日本人作家が参加するようになりました。
また、絵画や彫刻の枠を飛び越えた空間芸術を提唱したルーチョ・フォンタナや、イスラエル出身の画家ルーヴェン・ルービン、イタリアの版画家ルチアーノ・ザロッティなど、様々な国籍や芸術観を持った総勢200名を超える作家たちも、「フチーナ・デリ・アンジェリ(天使の窯)」で多様なガラス彫刻の制作を行いました。
コスタンティーニが主催した「フチーナ・デリ・アンジェリ(天使の窯)」は、あらゆる文化や価値観を坩堝の中で熔かし、ガラス彫刻へと昇華させる、壮大で前例のない芸術運動として、ガラス界のみならず、20世紀の美術界に新たな風を巻き起こしたのです。
LUCE(光)

LUCE(光)

成田克彦‐エジディオ・コスタンティーニ
1970~72年
SPAZIALE(空間)

SPAZIALE(空間)

ルーチョ・フォンタナ‐エジディオ・コスタンティーニ
1964年

© La Fucina degli Angeli  (Costantini Family Collection)

主催 毎日新聞社、箱根ガラスの森美術館
後援 ヴェネチア市立美術館総局、イタリア大使館、イタリア文化会館、箱根町
協力 フチーナ・デリ・アンジェリ(コスタンティーニ・ファミリー・コレクション)、
一般財団法人 箱根町観光協会、小田急グループ

デザイン画コンクール「ピカソに挑戦しませんか きみのデザインをヴェネチアン・グラス職人がつくる」審査結果のご報告

このたびは、箱根ガラスの森美術館が4月27日から8月25日まで小学生・中学生を対象に実施しました、デザイン画コンクール「ピカソに挑戦しませんか きみのデザインをヴェネチアン・グラス職人がつくる」にたくさんのご応募をいただきまして、誠にありがとうございます。厳正なる審査の結果、応募総数2544点の中から入賞作品(最優秀賞1点、優秀賞2点)と入選作品6点が決定いたしましたので、ご報告いたします。

【最優秀賞】 平出 昊誠さん 横浜市立東山田小学校6年
【優秀賞】 宮坂 菜月さん 茅ケ崎市立松林中学校3年
  椎葉 愛穂さん 横浜市立小菅ヶ谷小学校2年
【入選作】 高須 圭唯さん 横浜市立大口小学校5年
  長澤 亜怜さん 横浜市立篠原西小学校5年
  美濃川 遵さん 横浜市立相沢小学校1年
  池内 玲音さん 横浜市立汲沢中学校3年
  古屋 和寛さん 厚木市立戸室小学校1年
  廣瀬 里恋さん 相模原市立相陽中学校1年
  
以上9名の作品が入賞・入選となりました。

最優秀賞に選ばれました平出昊誠さんのデザイン画を基に、ただいまヴェネチアン・グラス職人のマエストロ ジュリアーノ&ロベルト・バラリン親子がガラス彫刻を制作しています。完成したガラス彫刻作品と入賞・入選作品の9点および2次審査を通過した50点のデザイン画は、来たる10月13日(日)~11月24日(月)の期間、ヴェネチアン・グラス美術館内にて展示し皆様にご紹介させていただきます。芸術の秋、錦秋の箱根ガラスの森美術館で「未来のピカソたち」の作品をご鑑賞ください。

箱根ガラスの森美術館
館長 岩田 正崔

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